ヘクタの気配を感じ取ったユエは背にかろった荷物に手を伸ばし、身構えて相手の出方を待つ、あおぼーとスクルも遅れをとりつつもそれぞれ戦闘態勢に入った。
冷たい雪混じりの風が谷間をびゅうっと通り抜け、思わずスクルは目をほそめる、あおぼーとユエも目を細めたそうにするが、戦いなれた二人はそれをぐっとこらえた。
その風とともにヘクタが一斉に3人めがけて襲い掛かってきた。
「き…きたぁ!」スクルは覚悟したはずなのにそんな間の抜けた声を発した
「”コンボアタック”!」「”ドラゴンブラッド”…”サクリファイス”!」あおぼーとユエはというと各自の剣、ユエに至っては大刀を自在に振り回し、次々とヘクタをなぎ倒す。
「スクル!なにやってんだよ!」ユエの激が飛ぶ。
「ヒール頂戴すくる姉ちゃん!」2匹のヘクタと押し合いをしているあおぼーが助けを求める。
慌ててスクルはヒールをかけた。
「あー…生き返る…」そんなこと同時にいう2人を見て、まるで炎天下のグラウンドから走って、クーラーの良く効いた職員室に入った生徒のようだとのんきに思うスクル。はっと今の状況を思い出し、忘れないうちにブレスとホーリーシンボルもかけておく。
「こんなことやっててもラチあかねーな、スクル、ヒール頼むぞ?あおぼー!」
「分かってるよ、ユエ兄ちゃん!”
All fighters dwelling in me…Bark like a ferocious animal getting furiously angry!
Shout―――!
そう言って、あおぼーはそのちいさな体から出てるとは思えぬほどの大声で詠唱する。戦士のスキルの詠唱分は比較的に簡単にできているため、あとは己自身の力に頼る。
敵のヘクタとスクルはその大声にひどく驚き、目をしろくろさせていたが、ユエはというと、いくら専門分野が違うとは言えど、同じ戦士の使用するスキルは把握していたのか、塞いでいた耳から両手を離し、”つぎは俺の番だな”とニヤっとした顔つきで、大刀に闘気を集中させていた。
「俺の中に眠る奥深き闇の漆黒の龍よ・・・俺の力を代償に、恐れ多き竜神のごとく、その威厳で敵を押しつぶせ!”龍の轟き”!!」
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by mar_cancion
| 2006-10-20 12:03
| スクルファー