黒い暗殺者とその相棒と女一人
2006年 04月 06日
「まぁ、助けが来たとしても邪魔者は排除するがな…。」
そう言って、シオンが席を立った。
「それはそうと、あいつは何をしている…。」
心なしか苛立っているようだ。
「…あいつって…?」
「一応、俺の相棒なんだが……最近サボりまくってるからな…。」
今回もサボリやがったし、と苛々した口調で喋っている。
(どんな人なんだろう…?)
アクロは考える、シオンの相棒の予想図を。
相当な怖い人を想像してるようだが。
その時、
ガチャッ
「ヨー。やっぱここにいたか。」
扉から男が一人入ってきた。
「やっと来たか、バジル…。」
(バジル…?)
そう、この男はバジル。
アクロ誘拐任務遂行の時に、忙しいと言ってサボったバジルだ。(実際は屁理屈を並べただけだが)
こんな奴でも、シオンの相棒をやっているのだから、世も末だ。(By作者
「遅いぞ。何処で何をしていた…。」
「だから言っただろ?暇と言う時間を楽しんでて、忙しかったんだって。」
「それはタダの屁理屈だ…。」
「それはそうと、今回連れてきたのはどいつだ?」
「(シカトしやがった…。)…こいつだ…。」
そう言ってアクロを引っ張る。
「きゃっ!」
力が強かったのか、転ぶ。
「…へぇ~。今回はアクローチェの方か。スクルファーとか言う奴の方は、どうした?」
「…アイツらと合流したんで、こいつだけ連れてきた…。」
「そうか…。」
少しの沈黙…。
「…ねぇ、アイツらって…?」
「…今に分かるさ…。」
「…?…」
頭に?を並べるアクロ。
「つーか、何時の間にこんなに打ち解けてんだ?お前ら。」
「そりゃあ、仲間になってもらう奴だ、打ち解けて置かないと色々と面倒だろう…?」
当然だろう、と言う風に答えるシオン。
「私は、仲間になるつもりなんかありません!」
相当仲間になるのが嫌なのか、大声で叫ぶアクロ。
「…バジル、スクルファーのほうは如何する…?」
「…それなら問題ない。お前が言ってたアイツらと一緒に、こいつを助けに、此処にこようとしている…。」
そう言ってアクロを指差す。
「…やはりそうか…。あの時後ろで誰かに見られていた感じはしたが…。」
そう言って、アクロの耳飾を握る。
りあがプレゼントした奴だ。
「…!やめて!それはりあちゃんにもらった、大事な耳飾…!」
「やはり此れに問題があったか…。」
「…?何だ、それは…」
バジルが問う。
「これは透視石だ…。」
「透視石っつーとアレか?宝石に似ていて、ある石と魔力で繋げておくと、その場所を見ることが出来るって言う…。」
「…そうだ。手に入れるのが困難な代物だ…。本で見たものと似ていたから、まさかとは思ったが…。」
シオンが顔を歪める。
(…りあちゃん、何時の間にそんなものを…。)
僅かながら、手際のいい友人に感謝するアクロ。
「ところでよー、シオン。この後、如何するつもりだ?」
「…何がだ…?」
意図が分からないのか、問い返す。
「この後、もう一人の標的(ターゲット)のスクルファーと、そのお仲間が来るんだろう?準備を何もしないのは流石に不味いだろう。」
「…そうだな…!おい、バジル、アレをやれ…。」
「…!アレか。しかしアレは面倒くせーよ。やる気が起きない。」
(…アレ?…何の事だろう…)
「…それに、アレをやって如何するつもりだ…?」
「…決まってるだろう…?アイツらに絶望と言うものを与えてやるのさ…ククククク…」
(今回のシオンは、何時にもまして黒いな…。)
…八割はお前のせいだと思うぞ、バジル…。(By作者
「…まぁ、仕方ないか。あまり女にこういう事するのは、好きじゃないんだが…。」
「計画のためだ、我慢しろ。」
「…わーったよ…。」
「…な、何するの…?」
女と言ったら、ここには自分しかいない。これから何をされるのか不安になり、怯えるアクロ…。
「…君にはこれから”仲間”になってもらうよ…。」
「…!!!…」
此処から先は次回に続く!(By作者
by mar_cancion
| 2006-04-06 21:31
| しーちゃん