アクロとスクルとしーちゃんが綴る、波乱万丈毎日がドタバタなMapleStoryの物語。


by mar_cancion

聖者の逃走

 ザっザっザっと雪原を急ぎ駆け抜ける影…スクルは息を切らせ、魔法を併用ながら必死に走る。
 そのスクルを追うゾンビの数は一行に減らず、むしろどんどん増えていった。 
 「うわぁぁぁぁぁ!ついてこんでよぉぉぉっ!!」
 スクルの訴えも虚しくどんどんその数を増やしているようだった。
 何か打開策はないかと必死に頭を捻る…するとあることを思い出した。
 「そうや…コイツらみんなアンデット系かぁ…なら」
 そういって治癒魔法・ヒールを何を考えたか相手にかける。しかしかけられたゾンビは回復するどころかもがき苦しんでいた
 「やった!やっぱり聖魔法は苦手なんや♪」
 それでもまわりにいたゾンビはスクルのほうへ尚も進む…
 「こんでっていっと-やろぉ!?」そういってさらにヒールをかける…。あまりにもの苦しみにゾンビ達も反撃にでた。
 「おぉ…ぉ…っ…!」
 そういって、マジッククローにもにた攻撃を放つ。
 「ったぁ…!」テレポートで避けようとしたものの、複数の攻撃のため避け切れず傷を追う、負った傷をいやすため再度ヒールをするが、それはますます敵を増やす結果になった。
 「うぁ…わぁぁぁっ!」
 "もっていくだけ"と約束したはずのモップを大きく振り回し、よろめきながらも急いでまた逃げる、幸いゾンビの足は遅く逃げ切れそうだった。


 そんなスクルを木のうえから見つめる一つの人影
 「お…?なんかおもしろそうなことになってる」
 スクルの様子を見てほっそりと哂う…
 「そうだ、もっとおもしろくしてみるかな…?」
 何やら思いついたように、詠唱しはじめる。ただ、すぐに唱えおわった点で見ると魔法使いの使う詠唱文とは違うようだった。

 「―…さぁ…手駒は揃った…あとはスクルファー、俺をぞんぶんに楽しませてくれよ…」








 そんな影があるとは露知らず、逃げ惑うスクル。だいぶ魔力を消費したのか、テレポートするのがつらそうだった。それでも逃げなくてはゾンビご一行様に捕まるのは必死だった。
 せめてもう少しゾンビの足が遅くなったら…!そんな願いをこめて詠唱する
 「“ヒール”っ!」
 すると、ゾンビたちが一瞬歩を止めた…しかしほっと安堵した次の瞬間には、まるで術がかかったかのように移動速度が2倍にも3倍にも増加していた
 「うわぁぁぁ!?逆効果ぁ!?」
 ぼろぼろと涙を流しながら、追い付かれまいとつかれているもかかわらずさらにスピードをあげ、モップをブンブンと振り回し、必死で逃げる。
 スクルは次に、依然ミケの使っていたある言葉を思い出して使うことにした。自分なら絶対にひるむとおもうその言葉を

 「…ブチ殺すよ☆」

 しかし、ゾンビ達はひるむどころかさらに腹を立てたのか、物凄い形相でおってくる。
 「ふぇぇ~!これでもだめなの~!?」
 無理もない、スクルがミケの真似をしたところでその口調はだいぶ迫力に欠ける…まるでむきになった子供のようだった。

 残る手立ては神頼みしかなく、手当たり次第頼む
 「神様、仏様!キリスト様!メシア!…ハインズ様!…えっとそれから…あーっ!忘れたぁー!お願いです、誰でもいいから助けてください~!」と、聖職者とは思えぬ有り難みもない祈り方。しかし本人はパニくりながらも至って必死で真剣そのものだった。
 「サクラちゃーん!助けっ…って今サクラちゃんは敵にだまされとんやっけ…」と妙なところで冷静になる。そんなこと今はどうでもいいはずなのだが。
 「こうなったら誰でもいいや!紅鮭―――っ!…この際ユエでもいいや、誰かたすけてー!」
 叫ぶのに無我夢中になっていたスクルは目の前に橋がかかっていたことに渡る直前で気付いた。そしてこれを使えばゾンビから逃げられる!とある策が思い浮かんだ。

 渡りきったあとに橋落とせば…!

 何とも安易な考え方だったが今はこれが精一杯なのだろう。そして橋を急いで渡る。
 「あと少し…!」
 そう思った直後、不意に足をとられるような感覚に襲われる…スクルが気付いたときには足元には何も存在しなかった。
 何がおきたか状況把握できず、固まる。

 やっとのことで把握したときには自由落下の真っ最中だった。

 「うわぁぁぁあぁぁぁっ!?またぁ―――っ!?」

 …ふふ、予想以上の展開だよ…♪
 そう哂いながら、ゆっくりとその場を去る人影が一つ…

 ――スクルの悲鳴は暗い谷底へと消えていった…。
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by mar_cancion | 2006-06-14 22:23 | スクルファー