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アクロとスクルとしーちゃんが綴る、波乱万丈毎日がドタバタなMapleStoryの物語。


by mar_cancion

-知恵比べ-闇聖魔VS弓・聖魔

 りあとスクルとギルは、互いに相手の隙の空く時を見計らい、動くに動けなくなっていた。
 じり…と足を半歩もすすめられないが、先に動いたほうが間違いなく不利になる。
 そんな状況に、さすがのスクルでさえもその状況がわかったのか握った拳を解けないままでいた。

 わずかにスクルの唇が震える。
 その時をギルは見逃さずにスクルに向けて魔法を放つ、りあももちろんその攻撃を許す分けなく、とっさにスクルの前にパペットという身代わり人形を出し、アローボムで応戦するが、ギルも戦い慣れているのであろう、ガードやマジックガード等の防御スキルを瞬時に駆使する。
 「甘いな」ギルは挑発的なことばをはき捨てる。
 だが普段はぽけぽけなりあも、戦い慣れているのは同じだった。

 「さぁ?甘いのはどっちかな?」とさらりと流す。
 りあと互いに攻防を繰り返すような状態でギルはつぶやくようなわずかな声を聞き取った。


 ―……蒼き聖龍よ…聖人ハイリゲの契約の元我に力をかしたまえ…
 
「な…っ!?しまった」ギルが気付くが時既におそし。
 “「サモンドラゴ―――ンっ!」






 そういって高らかに詠唱分を唱えあげたのはさっきまでりあに守ってもらっていたスクルだった、どうやら守ってもらってる間に握っていた手のなかの召喚石を使い、サモンドラゴンを召喚するための詠唱文を小声で唱えていたらしい。
 召喚石は詠唱文とは相反する朱を帯びた光を放ち、弾け飛ぶと同時に小さな龍がどこからとなくあらわれた。
 「しまった…!」
 ギルは思わぬ展開に歯をギリっ…といわせる。
 りあも突然の赤い龍の出現に驚いたのか、しばしあっけにとられていた
 スクルはもっていた棒・ソンズをギルの方に向け龍に向かい言葉を放つ。

 「紅鮭!アイツやっつけるよぉ!」


 …………。


 しばしの沈黙。






 「…紅鮭…?」

しばらくの沈黙を裂いたのはりあ。
 りあも、ギルでさえも一時戦うことを忘れてしまったようだった。
 「えっ?え…?」
 なぜ皆が黙ってしまったのかが理解できないスクルはおろおろ、それに同調して紅鮭と呼ばれた龍もおろおろしている。
 「紅鮭って…その龍の名前…?」
 りあは『まさかね…』という感じでスクルに聞くが、その希望を見事に打ち破った
 「え…そうだよ?何となくこれがぴったりかなー…って」
 その様子をみてがくっとなるりあとギル、名前の由来が安易に想像できる。
  「まぁいいや、その…紅鮭くんも協力してね!」
 そういって再び戦闘態勢をとるりあに、遅れをとりつつも構えるスクルとギルと紅鮭。
 再び攻撃のためにスクルと反撃を狙うギルは、ほぼ同時に詠唱文を唱えはじめる。
 だがりあも易々と詠唱することを許すわけもなく、得意の弓でギルをねらい射つ、もちろん相手もその攻撃を許す事無く紙単衣のところでかわされてしまう。
 紅鮭もギル目がけて火の玉を放つ。

―……聖なる女神の後光よ…邪悪な魂を持つ彼のものに制裁を与えよ…

“シャイニング・レイ”!!


 わずかにスクルのほうが唱えるのがはやかったのかスキルを発動させるが、攻撃も物陰に隠れることでやすやすとかわされてしまった。
 「ばっかだなぁ~…レイって確かに威力は高いほうだけど、要は光にあたらなきゃ意味無い…おわっ!?」
 そういってニヤリとわらったのだが、次の瞬間ギルの魔力が暴発したのだった。
 「バカはどっちやろね?詠唱中に喋るなんて初心者のする失敗やよ?」
 イジワルそうな笑みを浮かべるスクル。その様子を見たりあはたまたまなのか以外と曲者なのかと思考をめぐらせた。

 「く…っ…。相手がこんなのだから油断した…っ」
 悔しそうに顔をしかめるギルだが、自分の魔力だったせいもあるのか、暴発したにもかかわらず以外に軽傷だった。
 そしてゆっくりともっていた杖を構え流し目でりあとスクルを見る。いつもはやる気のなさそうなその目が今は恐怖を覚えるような冷酷な感じが漂い、まるでまわりの空気さえ凍てつかせるかのように見えたのだった…。
by mar_cancion | 2006-04-21 19:13 | スクルファー